学生には進化論の弱点をも教えよ

デイヴ・イートン(Dave Eaton=ミネソタ教育委員会および道徳基準作成委員会委員)

ミネアポリス・スター・トリビューン(2005年4月24日)

 この州の大多数がそう考えているように、学生にはネオ・ダーウィニズム進化論の科学的長所も短所も等しく教えるようにすべきである。州の理系水準の向上段階で試みられたゾグビー世論調査によれば、ミネソタ州の82パーセントの人々が「ダーウィンの進化論が学校で教えられるときに、学生たちは、科学者たちが進化論の諸点について批判的に考えているという事実をも等しく学ぶべきだ」と考えていることがわかった。大卒者の間では、そう考える人たちの割合はもっと大きかった。
 正確な進化論(とその続いている論争についての)教育は、小進化と大進化の重要な区別 をきちんと学生に教えてやることによって、かえって改善されるといってよい。小進化とは同一種の内部での変化のことで、この意味での「進化の事実」については100パーセントの同意がある。これは日常、犬の品種改良やトウモロコシの交配種に見られるとおりである。
 科学者の間の論争は、議論が大進化、すなわち新しい種の発展、新しい形態、新しい器官などに及んだときに生じてくる。多くの科学者が今問題にしているのは、化石の記録に突如として現れる、全く新しい器官や形態を説明することができる大規模変化のメカニズムについてである。小進化と大進化の違いを学生に教えることは、論争のより深い理解につながるであろう。
 学生たちはまた、化学物質からの生命発生というシナリオの科学的な強みと弱みをも公平に学ぶようにすべきである。いま新しい科学的証拠が、生命の起源の古い理論に新しい光を投げかけているのだ。
 不幸なことに、こうした教育がすべての授業で行われてはいない。進化論者の中には、進化は完全に批判抜きで教えられるべきだとまで主張する者もあるほどである。学生を、進化論やその他の科学理論の中核部分に対する批判から、守らなければならない正当な理由は全くない。
 こうした事態の是正は、ネオ・ダーウィニズムや化学進化論の問題点への科学的批判を含む審査委員付きの文献や主流刊行物の存在を、学生に知らせることによって達成することができよう。現行の生物の教科書は、インターネットから入手できるより新しい情報によって増補すればよい。
 インテリジェント・デザイン(ID)理論は、ネオ・ダーウィニズムに対して現れてきた科学的挑戦者である。IDは、生物と宇宙のある側面 は、非知性的原因だけによると考えるより、知性的原因によるものと考える方がうまく説明できると主張する。ランダムな変異や自然選択というのは非知性的原因の例である。
 IDは興味ある伸張しつつある科学の話題であるが、それは現れてきたばかりの理論であって、許容さるべきではあるが、州の指令によって教えられるべきものではない。公立学校が学生に創造説を教えるのは違法である。創造説は聖書に基づくものだが、IDは科学に基づくものだ。
 ネオ・ダーウィニズムや化学進化論に対する科学的批判について教えることは、宗教を教えることにはならないし、科学理論の代替物を教えることにさえならない。法はこれを同等に認めている。最高裁は、学生が「流布している科学理論の科学的批判」について学ぶことができることを明確にした。
 ミネソタ州の新しい理科基準は、学生が「科学あるいは科学技術の革新や新しい証拠が、進化論を含む(しかしそれに限らない)既成の理論やモデルの一部あるいは全体を疑問に付すことがあるということを、説明できる能力をもつ」ように要求している。
 我々はまた、連邦政府の「遅れた子供をつくらない法案」の文言に規定してある指導要領をも無視すべきではない。そこには、学生が「生物進化のような」論争の対象となっている課目について、「存在する科学的見解のすべてを理解できるようにしてやる」カリキュラムを採り入れることが要請されている。
 最近、この州の高校の生物担当教師は、科学者たちがダーウィン進化論に批判的な分析を加えていることを、学生たちに教え始めている。理科教師がダーウィン説の科学的長所や短所を教えるのに、宗教や哲学の領域にまで踏み込まないようにすることは当然可能である。
 こういった改良をとり入れることは、上質な教育の核心である分析や批判的熟考の能力を養うのに役立つであろう。私が願うのは、教師が進化の問題を、知的に誠実かつ科学的に正確なやり方で見渡すことができるよう仕向けることである。
 学生は、科学的に遅れた者とならないように進化論について知るべきであるが、その場合、ダーウィニズム流の独断でなく、探究と分析を続けることを奨励するようなやり方で知るべきである。
 わが州の理科教育基準がこうした考え方を支持している以上、ダーウィン理論の明確で正直な説明をしてやることによって、もっと多くの学生たちを益することになるだろう。

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