Discovery Institute News

進化論の弱点を説明せよ

By: Pete Chadwell
Bend Bulletin
July 3, 2006

最近サウスカロライナ州が、ミネソタ、ペンシルヴェニア、カンザス、ニューメキシコ各州に続いて、理科の授業での進化論への批判的分析を要求する、全州の理科教育基準を採択した。これら5州では、標準的なダーウィン進化論を今まで通 り教えるのだが、いわば眉に唾をつけて教える、つまりダーウィン説の科学的弱点をも指摘しながら教えることになる。

言論の自由、多様性、バランス、寛容といった理想が常に説教されているこの国で、残りの州は、ダーウィン進化論の科学的弱点を、公立学校の理科のクラスで口にすることを許さないというわけだ。すなわち、オレゴン州や他の44の州では、ダーウィン進化論が絶対の説として教えられる。つまりその科学的弱点は学生には知らされず、ダーウィン進化論が異論の余地のない生物起源の理論として提供される。

注目すべき重要なことは、上にあげた5つの州の中で、インテリジェント・デザインのような対立する起源の理論を、理科カリキュラムに含めようと言っている州は一つもないということである。これらの州で採用された基準は、ただ進化論の強みと弱みの両方を客観的に教えるように要求しているだけである。この点をメディアがどう報道しているかに注目する必要がある。なぜなら、これらの州が話題になると、報道記者たちはあたかもインテリジェント・デザインがこの決定に関与しているかのように、またIDがこれらの州で教えられることになるかのように、この決定をIDの勝利として話を捏造してきたからである。しかし事実はそれとは全く違い、これら5州の理科基準は、IDや他のいかなる対抗理論をも、教えることを要求する、あるいは許容さえする文言を含んではいない。

これら5州の決定は、当然、我々他の者たちにとって重要な問題を提起する――わが国の公立学校は、相変わらず進化論を支持する証拠だけを教えつづけるべきなのか、それとも進化論に不利な証拠をも同時に教えるべきなのか?

もし我々が、進化論に不利な証拠は隠しつづけるのがよいと信ずるならば、我々はある非常に難しい問いに答えなければならなくなる――どんな科学理論であっても、それに不利な科学的証拠を隠しておくことから、いったいどんなよいことが生ずるのか? それは科学そのものの信用を根元から崩すことにならないか? 科学の実験や発見はガラス張りであることが当然ではないのか? この証拠を隠すことが、どうして我々の子供たちに公平だと言えるのか? 

これに対して、もし我々が、我々の学生は進化論に不利な証拠をも教えられるべきだと考えるとしたら、今度は別 の面白い問題が浮かび上がってくる――いったい、たった5つの州が、進化論を教室で客観的に教えることを要求するにすぎない理科基準を採用するのに、なぜこれほど長くかかったのか? 進化論者は何を護ろうとしているのか? これだけ長年にわたって、この証拠を隠し、あまりにも多くの学生をだましてきたことの、正当な理由付けはどこにあるのか?

「論争を教えること」の是か非かを考えるとき、2005年9月号のガーディアン誌に載った有名な進化論者Richard DawkinsとJerry Coyneによる論説を引用するのが役に立つ。彼らはそこで、「論争を分析することを我々の学生に求めることは、彼らの教育にとって絶大な価値がある」ことを認めている。にもかかわらず彼らのコラム記事は、この特定の論争だけは無視すること、そして進化科学そのものは、彼らの言葉によれば「真正の論争を十分に経てきた」という理由で、学生にはそれを教えないのが正当だと言っているのである。明らかにドーキンズとコインは、進化論の内部で論争が続いていることが、なぜか進化論をより確かなものにしていると考えているようだ。彼らは、彼らが売り物にしている理論には根本的に欠陥があるからこそ論争が絶えないのかもしれない、という可能性については考えてみようともしない。それはあまりにも欠陥が大きいので、生物学者たちはこの理論を生かそうとして、全く斬新な(しかし矛盾する)理論枠を求めて争ってきたのである。しかしもっと重要なことは、それが彼らの役に立つときには、ドーキンズとコインは明らかに、彼ら自身、学生の教育にとって価値があると認めるもの、すなわち論争となっている多様な見方に触れることを、学生に禁じようとするのである。

我々が進化論を絶対的なものとして教えようとすれば、それだけ我々は学生に対してウソをつくことになる。公立学校で進化論を批判することに反対するのは、意図的に学生をだますことを提唱するのに相当する。反対に、ダーウィン進化論を教室で客観的に教えることを提唱するのは、この理論に対する学生の批判的精神を鼓舞し、科学に対する好奇心と興味を掻き立てることになる。

おそらく、これらの州で採択された批判的分析基準についてダーウィニストが最も恐れているのは、これらの証拠が提供されることによって、ある事実が白日のもとにさらされることである――すなわち、これまでダーウィン的パラダイムの享受してきた成功は、ダーウィン的思考の強みから来たものではなくて、彼らの理論への反対の証拠を巧みにかわすダーウィニストたちの能力から来ているということである。

(Bendのピート・チャドウェルはグラフィック・アーティスト)

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