Discovery Institute News

原告のものだった判決文
―'05年12月IDに打撃を与えた判決文は、ACLU弁護士の文章そのままだった!

By: Mark Bergin
World Magazine
December 23, 2006

ここ一年、John E. Jones判事は有名人としてもてはやされた。ラジオのトークショーから各地の講演、タイム誌の表紙に至るまで、この合衆国地裁判事はあらゆる発言手段を利用して、インテリジェント・デザインが公立学校の理科授業に入ってきてはならないという、2005年12月の判決の背後にある論理を宣伝してきた。ダーウィニストたちは、すぐれた学識と厳しい政教分離のヒーローと彼らの呼ぶこの人物が、あちこちのメディアに現れるのを祝ってきた。

ところが、この判決の重要な部分は、ジョーンズがACLU(米国自由民権連合)の文書から切り取って貼り付けたものだということが暴露されて以来、このおしゃべりの判事は急に黙り込んでしまった。ジョーンズは、IDを支持するディスカヴァリー・インスティテュートの提出した報告書にコメントすることを拒否している。この報告書は、IDが正当な科学であるか否かを判断する25ページに及ぶ肝要な部分の、90パーセント以上が、他からのコピーだと指摘している。

この報告書はチャート式に、一方に一区切りの「キッツミラー対ドーヴァー」裁判の判決文をあげ、他方に、ジョーンズがペンシルヴェニア州ドーヴァー学区教委に不利な裁定を下す前にジョーンズに提出された、原告ACLU側の「事実調査と法の結論」からのほとんど同じ文言を、対照できるように配置している。それによると、6,004語からなるこの部分の、5,458語までが彼のものでないという。

報告書はまた、ジョーンズが、ACLUの調査の中にのみ存在する事実誤認をそのまま繰り返しているいくつかの例をあげ、この裁判官が原告の申し立てを自分のものとして採用する前に、批判的に調べてみなかった疑いが強いとしている。このような誤りの存在は、最初から、ディスカヴァリーの研究員マイケル・ビーヒーをして、何かがおかしいと思わせていたものである。

ところでこの研究所が更に調査してみると、ジョーンズが他人の文章を自分のものとして提示する傾向を持っていることが分かった。今年5月のディキンソン・カレッジ卒業式のスピーチで、ジョーンズは『建国の父祖たちとアメリカにおける宗教の位 置』(Princeton Press, 2003)という本から直接引用しながら、引用文の出所も、引用の事実も示していない。

このような口頭による剽窃はACLU文書をコピーする罪より大きい。後者についてはディスカヴァリー・インスティテュートの報告書でさえ、剽窃とか法的倫理違反にはあたらないとしている。裁判官はしばしば、原告や被告の提出した申立書を最終的決定で利用するものである。しかしディスカヴァリーの幹部で、この報告書の共同作成者であるJohn Westは、この場合のあまりにも広範囲な逐語的コピーは、他の裁判官がこれを引用しようとする気を失くさせるものだと言う――「ACLU文書をそのまま、あるいはほとんどそのままコピーするということは、他の裁判官から信頼されない結果 を招くでしょう。」

多くの筋金入りのダーウィニストたちは、ジョーンズを歴史的な科学の擁護者の殿堂に祭りあげ、IDを仮面 をかぶった宗教だとする彼の痛烈な告発は、この理論を教室で教えようという国民的な盛り上がりを押しつぶすだろうと信じてきた。昨年の100人の最も影響力のあった人物の一人として、タイム誌はジョーンズを持ち上げ、この判決は彼が民主党員でも無神論者でもなく、共和党のルーテル教徒であるがゆえに、なおさら重みを持つものだと言っている。彼の判断の中味がACLU弁護士からの直接の借り物だったという事実は、彼のこうした信用を大きく低下させるだろう。

しかし人気のあるダーウィン派のブログ、The Panda's Thumbによれば、ディスカヴァリーの報告書は「全く話にならない」もので、これはID派が大義を失って「ますます絶望的になっている」ことの証拠だという。確かにIDを公立学校のカリキュラムに取り込もうとする努力は弱体化した。しかしディスカヴァリーは初めから、この方針には反対だったのである。

彼らは公然と、ドーヴァー地区教委が第9学年の生物カリキュラムでIDに言及しようとする試みに反対した。IDに触れないでダーウィニズムを科学的に批判する方が、法的な検問にかからなくて済むだろうというのが彼らの主張だった。それでもなおディスカヴァリーは、IDはクリエーショニズムと同等だとする判例をつくろうとしたジョーンズのやり方は、権限の逸脱だと考えている。

ジョーンズの裁判所代理人のLiz O'DonnellはWORLD紙に対し、判事は公的な場所に出続けるかもしれないが、ディスカヴァリー・インスティテュートの報告書についてはコメントしないだろうと言った。オドンネルによれば、ジョーンズはこれまでも、突然の名声を裁判官の独立保護のために利用して、この訴訟について直接話すことは避けてきたという。しかしドーヴァー判決に続いて行われたペンシルヴェニア公共ラジオのインタビューで、ジョーンズは、IDは「科学のいかなる受け入れられた定義にも納まらない」と言い、「たとえ科学として認めても、私はあまりよい科学だとは思えなかった」と語っている。このような最初の判断が判決に大きく働いたのかもしれない。

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