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ダーウィンの「恐ろしい思想」を検証する本

By: Katherine Kipp
Baptist Press
Feb. 14, 2008

近年、2月12日はリンカーンの誕生日だけでなく、ダーウィンの誕生日としても祝われている。

Institute for Humanist Studies(人文学研究所)が主催するこのダーウィン・デーは、この進化論と科学一般 の先駆者を称えて祝賀することを狙いとしている。しかし進化論を信じない人たちの一部はこれを、一方でダーウィン原理主義を教え込みながら、神の存在を否定する生物学的議論を推進するための機会なのだと言っている。

『アメリカにおけるダーウィン・デー:いかに我々の政治と文化が科学の名において非人間化されたか』(Darwin Day in America: How Our Politics and Culture Have Been Dehumanized in the Name of Science)の著者John Westは、2月12日のファミリー・リサーチ会議で、自著とダーウィン・デーの意図について講演を行った。

「考え方には結果が伴います。そして悪い考え方や間違った考え方には恐ろしい結果 が伴うのです」と、ディスカヴァリー・インスティテュートの公序法律担当のウエスト副所長は言った。「もし私の本をひと言で要約するなら、そういうことになります。」

ダーウィンと彼の考え方を十分に理解しようと思うなら、彼のThe Descent of Man(『人間の由来』)をぜひとも読まなくてはならない、とウエストは言った。そこにはダーウィン理論に含まれる本当の意味が展開されているからである。

人間の尊厳と独自性の否定が、ダーウィン理論の意味の一つである。「人間と高等哺乳類の知的能力の差はあまりないが、これに対して、人種の異なる人間同士の差は、実は非常に大きいのだとダーウィンは強調しているのです」とウエストは言う。

ダーウィン理論に含まれるこの点が、人種差別 を正当化するのに利用されてきた。例えばナチスドイツは、ダーウィンのこの見方をユダヤ人に対する憎しみに適用したのだ。

ダーウィンの自然選択信仰――人間が現在の地位 にいるのはそこに達するための闘争によるものだ、また社会は「精神薄弱者」や「異常者」を生かしておけばそれだけの代価を払うことになる、という信念――はまた、「精神薄弱者」が人類を滅ぼしつつあるという内容の1930年代のナチ宣伝映画の原動力ともなった、とウエストは述べた。

「またダーウィンの見解には一種の道徳相対主義が含まれている」とウエストは指摘する。ダーウィンの道徳相対主義は、より健全な子孫を人類に残す行為が「道徳的」だという思想だ、と彼は言う。

この定義では、「母性本能は生物学的に正当なものだが、同時に子殺しも正当化されます。親切は正しいが、同時に強姦も正しいのです。なぜならそれは自然選択によるものだからです。一夫一妻は正しいが、一夫多妻も正しいことになります。」

ウエストは、ダーウィン理論のすべてが「前世紀間に、アメリカの文化と社会秩序に甚大な影響を与えた」と話した。

彼はその例を一つこの本から示した。1924年の「レオポルド及びローブ殺人事件」は、14歳の少年を殺した二人のシカゴの大学生の事件で、クラレンス・ダロウ弁護士がこれを弁護したが、彼は裁判に先立ち、獄中にいる人々はすべてそれを避けられないがゆえにそこにいるのだと述べた。ネイサン・レオポルドとリチャード・ローブも、彼らが避けることのできなかった環境の犠牲者だ、とダロウは主張した。

ウエストは言う――ダロウの信念は、人間は彼のことなど頭にない自然の過程の産み出したものであり、従って人々は自由意志などもっていない、というダーウィン理論に絡むものである。

ダーウィン理論が破壊的な適用を受けたもう一つの例は、キャリー・バック事件である。この女性はヴァージニア州で生まれた直後に里子に出され、彼女の母親は「精神薄弱」として病院へ送られた。キャリーは17歳のとき、里親の甥にレイプされ妊娠したが、彼女も「精神薄弱」と判断され、次世代へ「精神病」を移さないように隔離された。彼女は1927年に不妊手術を施され、母親と同じ病院に入れられたが、実は読むことも書くことも、他のすべての能力を使うこともできた。

ウエストはこういった多くの例をあげて、例えば前最高裁判事オリヴァー・ウェンデル・ホームズJr. のようなダーウィン信奉者たちが、いかにダーウィン理論を解釈し、長年にわたって、これを必ずしも関係のない状況に適用してきたかを示している。例えばホームズは、バック事件が最高裁にかかっていたときの判事であり、彼女の不妊手術に賛成の投票をした。

ウエストはまた、専門家でも間違うことがあるのだから、科学界内部での言論の自由や批判意見を社会は弁護する必要があると述べた。「地球温暖化の問題でもダーウィン進化論の問題でも、多数意見に異を唱える科学者は差別 されています。ダーウィニズムはこの宇宙の中での、我々の西洋的な考え方を覆してしまったのです。」

(キャサリン・キップは、「バプティスト・プレス」ワシントン局勤務のインターン)

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