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「生命の樹」初等読本(3)

By: Casey Luskin
May 7, 2009

共通祖先という考え方がこれほど多くの当てにならない予言を生み出すのであれば、なぜそう考えるのは間違いで、生物の相似性は共通 のデザインの産物かもしれないという可能性を考えないのか? 結局のところ、デザイナーというものはきまって、部品やプログラム、また別 のデザインで機能している構成要素を、転用するものである(例えば、自動車と飛行機に共通 の車輪、コンピューターと携帯電話に共通のキーボードなど)。

共通祖先よりも共通デザインを示唆すると思われる一つのデータは、pax-6と呼ばれる遺伝子である。Pax-6は、極端な遺伝子の相似性が、進化生物学では全く予想も予言もされなかった場所に忽然と現われる、やっかいな遺伝子の例の一つである。手短に言えば、科学者たちは、クラゲ、節足動物、軟体動物、脊椎動物といった多種多様な動物がすべて、それらの持つ非常に異なった眼の発生を支配する、同じ遺伝子pax-6を使っていることを発見した。これらの動物の眼の種類は大きく異なっているから、以前には、それらは眼を持つ共通 祖先を共有しているとさえ考えられていなかった。進化生物学者Ernst Mayrは、非常に異なった種類の眼を持つ多くの動物の眼の発生を支配する、同じ遺伝子が発見されたときの、標準的な進化系統学の内部で起こった大混乱についてこう説明している――

形態・系統学の研究によって、感光器官(眼)は、動物が多様に進化する間に、独立に少なくとも40回は発達していたことがわかった。しかしある発生遺伝学者が、すべての眼を持った動物はpax-6という同じ制御遺伝子をもち、これが眼の形成を統制していることを立証した。したがって最初は、すべての眼は、pax-6遺伝子をもつ単独の祖先動物の眼から出ているものと結論された。ところがその遺伝学者はまた、pax-6は眼を持たない種にも見られることを発見し、眼を持たないものも眼を持つ祖先動物から出ているのだろうという説を発表した。しかしこのシナリオは全くありえないことが判明し、pax-6の広範囲の分布は別 の説明を要求することになった。現在ではpax-6は、眼が出現するより前でも、眼のない動物において何らかの未知の機能を果 たし、それが後に眼を統制するという役割のために、活用されたと考えられている。

この遺伝子の極端な相似性は、共通祖先からの遺伝という考え方を要求する典型的な例である。なぜなら異なった種が、独立に同じ遺伝的解決に到達するという確率はきわめて小さいからである。しかしもしダーウィン的進化方式を我々が要求するなら、まさにこのようなありえないことが起こったのでなければならない。Pax-6のような遺伝子が広範囲に分布しているという観察は、遺伝子レベルでの極端な「収斂 的(相似的)進化」を要求する。マイヤーは、遺伝子の極端な収斂 的進化のこのようなありえない例も、受け入れられるだけでなく、よくあることだと主張しようとしている――

眼のような構造物が、大きく異った生物種においてひんぱんに独立して生ずることができたということは、生命世界においては特別 変わったことではない。感光器官が動物において進化してからのちは、(ホタルのような)生物発光は少なくとも30回、独立していろんな種類の生物に起こっている。ほとんどの場合、本質的に同じ生化学的メカニズムが用いられた。ほとんど何十という同じような例が最近では発見されており、これらはしばしば初期の祖先から受け継がれた遺伝子型(genotype)の隠れた潜在力を利用している。

マイヤーは「遺伝子型の隠れた潜在力」に訴えることによって、こうした極端な遺伝の収斂 的相似性をうまく言い逃れようとしている。こういった説明は、盲目的で導かれない、ネオダーウィニズムに組み込まれたランダムでさえある過程に、うまく響き合う説明だろうか? そうではない。それは目標に向けられた過程、すなわちインテリジェント・デザインのように響くのである。

マイヤーが言っているように、遺伝的相似性が思いがけない場所に現われる、いくつかの他の例がある。共通 祖先からの遺伝の結果とされる生物学的に機能する相似性は、「相同」homologyと呼ばれている。

「相同」の概念は、マイヤーが述べているような、相同的でない身体の部分の発達を、同じ遺伝子が統制するというような観察によって、危機に陥れられている。Pax-6はその一例に過ぎない。もう一つの例は、同じ遺伝子が、全く違った種類の脚をもつ広範囲な種類の動物の脚の発生を統制しているという事実で、この場合、それらの共通 祖先は、共通するような脚をもっているとは考えられないのである。「相同」を推論するのに用いられる方法もまた、これまで相同的と考えられてきた身体の部分の成長を、異なる発生の経路が支配していることが発見されたとき、挑戦を受けることになった。教科書Explore Evolutionはこう述べている――

例えばサメにおいて、腸は胚の空洞の天井にある細胞から発生する。しかしヤツメウナギでは、腸は空洞の床にある細胞から発生する。そしてカエルでは、胚の空洞の天井と床の両方から発生する。この発見――相同的な構造物が異なった発生の経路によって生ずることがあるという発見――は、もしすべての脊椎動物が祖先を共有しているとしたら予想されねばならないことに矛盾する。…要約すれば、生物学者たちは解剖学的「相同性」から始まる議論に挑戦する2つの発見をしたのである。一つは、相同的構造物の発生は異なった遺伝子の制御を受けることもあり、異なった発生経路をたどることもあるということ。もう一つの発見は、逆に、時には同じ遺伝子が異なった成体の構造物を生み出す役割をすることがあるということ。これらの発見は共に、ネオダーウィニズムの予想に反するようにみえる。

このような証拠は、マイヤーが「遺伝子型の隠れた潜在力」と呼んだものの結果 にすぎないのかもしれない。それとも、それがネオダーウィニズムの予想に反するのは、ネオダーウィニズムが間違っているからかもしれないのである。

 

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