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BioEssaysの論文が「カンブリア爆発の唯物論的根拠」が 「とらえ所のない」(elusive)ものであることを認める

By: Casey Luskin
June 24, 2009

BioEssaysの最近の論文“MicroRNAs and metazoan macroevolution: insights into canalization, complexity, and the Cambrian explosion”が、カンブリア爆発に「唯物論的根拠がない」、すなわち、もっともらしい唯物論的説明ができないことを認めている。論文はこう述べる――

したがって、カンブリア爆発の唯物論的根拠は、我々がこの出来事について知れば知るほど、ますますとらえ所のないものになり、現在の一部のネオダーウィニストの主張とは反対に、中間型の消滅と長い地質学的時間を組み合わせることによって、言い逃れをすることはできなくなる。(Kevin J. Peterson, Michael R. Dietrich and Mark A. McPeek, 上記論文、BioEssays, Vol. 31 (7): 736-747 (2009).)

著者たちがID支持者であるという様子は全く見えず、彼らはなおもカンブリア爆発の「唯物論的」説明に希望をもっているように見える。にもかかわらず彼らは、ID唱道者の意見や主張のあるものに機知に富んだ同意を与えている。

5億5,500万年前あたりから、地球の生物相は、深く根本的な変化を見せるようになり、数十億年にわたって存在していた本質的に静的なシステムから、今日見られるようなシステム、すなわちその起源が全く説明できないようにみえる、動的で恐ろしく複雑なシステムへと移行していった。カンブリア爆発の陰謀めいた特徴の一つは、非常に明確に区別 されるボディ・プランをもった数多くの動物門が、地質学的に言って一瞬の間に、より古い時代の岩石層に来るべきものを予告する何の兆候もなしに、登場してくることである。「前カンブリア紀」からカンブリア紀への移行の突然さは、Murchinsonの『シルル系』(The Silurian System)の出版で始まる我々の科学のそもそもの出発点から、明らかに知られていた。この論文は逆説的にも、多くの古生物学者に研究目標を提供するものであったと同時に、創造論者に永遠の食物を与えるものであった。推論の道筋は単純で、インテリジェント・デザインのTシャツに書いてある通 りである――
 事実:―40の完全な動物の門が、それらに先行するいかなる動物も、いかなる移行形態もなしに、化石記録に突然現れる。「大いなる神秘」「我々への挑戦」――進化論はここでも爆発した。(idofcourse.com)
数字上の異論はあるにせよ、また最後の行は別 として、ここには我々が反対すべきものはほとんどない。実際、ダーウィンの同時代人の多くは、こうした考えを共有していた。だからヴィクトリア朝の流行がそれを許したなら、彼らはきっと誇りをもってこの同じTシャツを着ただろうと考えられる。(下線引用者)

この論文のあとの展開は、カンブリア爆発のいかなる「唯物論的根拠」も「とらえ所のない」ことを認めはするが、開かれたニッチ仮説とかadaptive radiation説を漠然とあげるだけで、カンブリア爆発のいかなる説明も提案していない。この論文の残りは、カンブリア爆発における新しいボディ・プランの爆発的出現よりも、むしろカンブリア紀以後に動物門やボディ・プランが全体的に失われていったことの説明に焦点を当てている。しかしどこかでネオダーウィニズムは、新しいボディ・プランの起源−―それも突如たる起源−―を説明しなければならないだろう。ただ単に、カンブリア紀以後の新しいボディ・プランの出現(これを彼らは発達のcanalizingと呼ぶ)が不可能だったことを説明するだけでなく――。こういう論文が出ても、カンブリア爆発における動物門の起源の説明は、これまでと変わらず「とらえ所のない」ままであろう。

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