CNS (Cybercast News Service) News
ダーウィンのジレンマ:
進化論エリートは科学的討論より検閲が好き
Casey Luskin
October 14, 2009
保守派のグループAmerican Freedom Alliance(アメリカ自由連合)が最近、『ダーウィンのジレンマ』という新しいドキュメンタリー映画の初公開をスミソニアン研究所の系列施設であるカリフォルニア科学センターで行う契約を結んだとき、彼らはそれがこういう騒動になるとは想像できなかった。
上映の知らせが公になるや否や、ダーウィン派の思想警察が、政府の援助を受けている科学センターがダーウィン進化論に挑戦する映画を見せるようなグループに、施設を貸すことに反対し始めた。
何が違法行為なのだろう? 進化の「コンセンサス」に異を唱える科学的見解を表明する学問の自由があるのではないのか?
論争の経緯を手短に述べると――化石記録は、およそ5億3000年前に、ほとんどすべての主要な動物グループ(「門」と呼ばれる)が突然地上に現れたことを示している。「カンブリア爆発」と呼ばれるこの明白に進化の先触れなしの生物多様性の劇的な爆発は、ダーウィンの時代から進化論者の頭痛の種であった。
現代の進化論者たちがこのカンブリア爆発、すなわち「ダーウィンのジレンマ」と呼ばれるものに対して取る2つの態度がある――
A.ある者は、カンブリア紀化石の証拠は本質的に、ネオ・ダーウィニズムのもとで予想されていたこととは正反対の事実を示すことを正直に認める。
B.他のある者は、その問題をさっと机の下に隠し話題を変えることで、カンブリア爆発に対処しようとする。
ダーウィニズム指導者の圧力に屈して、カリフォルニア科学センターはBの立場を選んだ。
AFA(アメリカ自由連合)は、カリフォルニア州政府の一部門であるこの科学センターとの間で、『ダーウィンのジレンマ』という映画を同センターIMAX劇場で9月25日に上映する契約を取り交わしていた。この映画は、いかにカンブリア爆発がダーウィン説に逆らうものであるかという、ダーウィンの名を頂くこの古くからの問題を探究するもので、最上の説明はインテリジェント・デザイン(ID)だと主張する科学者たちを登場させている。
どうやらカリフォルニア科学センターには、これは衝撃が大きすぎたために、AFAとの契約を、上映を2週間後に控えて、突如取り消したものと思われる。彼らは、このイヴェントを取り消したのは「契約に関する問題のため」と言っているが、その問題が何であるかは明らかにしていない。
契約「問題」はいつでも検閲のけっこうな口実になっているが、少しその経緯を掘り下げれば何が起こったのであろうかは察しがつく。
カリフォルニア科学センターはスミソニアン研究所と連携しており、後者はIDに対する学問の自由に反対する長い歴史をもっている。
2004年に、スティーヴン・マイヤーによるIDを支持する査読を経た科学論文が、スミソニアン関連の生物学誌に発表された。ワシントン生物学会(BSW)がID支持の論文がそこに載ったことを知ったとき、彼らは、マイヤーの論文は「この学術誌の科学的水準を満たすものではない」といってこれを排斥した。
もちろんBSWは、この論文の事実の誤りを指摘したのではない。彼らは単にマイヤーの結論が気に入らなかっただけだ。
さらに2005年には、ある批判的なニューヨーク・タイムズ記事に勇気を得た反ID検閲者たちが、スミソニアン研究所に、ID支持の映画『特権的惑星』の上映を取り消すよう圧力をかけた。
スミソニアン研究所の名誉のために言っておくと、彼らは上映の契約は守ったが、「この映画の内容はスミソニアン研究所の使命と一致するものではありません」という声明文を出して、このイヴェントが妥当なものでなかったことを公表した。スミソニアンの代弁者ランダル・クレーマーは、当研究所はこのドキュメンタリーの「哲学的結論」に反対するものだと言った。
(因みに、もちろん、スミソニアンが1997年にカール・セーガンのドキュメンタリーCosmosを上映したとき、この映画の大胆な声明「この宇宙が、いま存在し、かつて存在し、これからも存在するすべてである」に反対しようとする意思はなかった。)
話は引き続いて2006年、米国会の調査委員会が、「スミソニアンの上層部職員は、ダーウィン進化論に疑問をもつ科学者の地位
はく奪とハラスメントを容認していた」ことを突き止めた。
この迫害された科学者は、スミソニアンの研究員で生物学者のリチャード・スターンバーグで、彼はマイヤー論文の編集責任者であったために仕返しをされたのである。
スミソニアン研究所はどこまでもIDに反対し、IDに賛同する科学者には結果
が伴うというメッセージを送りつけようとしているようだ。しかしこのことがカリフォルニア科学センターのこの大失態とどう関係するのだろうか?
一つには、スターンバーグ、マイヤー両博士がIDを推進するドキュメンタリー『ダーウィンのジレンマ』に出ているということがある。もう一つは、スミソニアンの代弁者ランダル・クレーマーが再び現れて、彼が「スミソニアンの一支部でのこの映画の上映…(から生ずる一般
の)推測が心配になって」カリフォルニア科学センターと「話し合った」と言っていることだ。
クレーマーは公式には否定しているが、あらゆることから考えて、スミソニアンの上層部から圧力がかかったようである。そしてカリフォルニア科学センターはこれに屈し、このイヴェントをキャンセルしたようだ。常套手段の言い訳を経験した後では、これは進化論に対する検閲と言論の自由禁圧が、公然たる秘密であることを示す一例であることがよくわかる。
ダーウィンのジレンマは、単に古代の岩石層の移行化石にとどまるものではない。それは正統進化論の守護者たちが、彼らに反対する科学的見解を扱うやり方についても言えることである。
彼らは少数派見解を黙らせようとするのだろうか? それとも異論を唱える科学者たちに言論の自由と、それを主張する科学的探究を認めるのだろうか?
これこそ「ダーウィンのジレンマ」によって提起される本当の問題である。カリフォルニア科学センターが『ダーウィンのジレンマ』上映の契約取り消しを撤回し、進化論のドグマティズムより言論の自由を選ぶことを期待しようではないか。
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