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軟化し本音を洩らす反対者
―スティーヴン・マイヤー講演会のひと駒

Robert Crowther
May 17, 2010

先日金曜夜に行われたバイオラ大学での『細胞の中の署名』の著者スティーヴン・マイヤーの講演会(聴衆1500人とインターネット生中継の視聴者数百人)で、信じがたいやり取りがあった。講演後のパネル・ディスカッションで、マイヤーは2人の反対者に真っ向から対面 したが、その一人は、インテリジェント・デザインはダーウィン進化論のような導かれないプロセスより優れた説明であると、実質的に認めた。

2人の反対者とは、Calvin Collegeの有神論的進化論者Steve Mathesonと、ケンタッキー大学のダーウィニスト生物学者Arthur Hunt。2人とも、この本とIDについて批判的な批評を書いており、生物学的情報の起源の最上の説明はそれが知的淵源すなわち心からきているというマイヤーの本のテーマには、明らかに魅力を感じていない人たちである。

少なくとも最初は、彼らはぶぜんとした態度を取っていた。ハントの方は最後までそうだったと思う。しかしマシソンの方は明らかにそうではなかった。確かに彼は批判的ではあったが、驚くほど正直に内心を洩らすいっときがあって、ID理論を彼に受け入れさせないでいる彼自身の前提を自ら明かした。

マシソンは、基本的にはIDが現在提供されている最上の説明であることを認めるが、自分は気に入らないのだと言った――そうだ、確かにコードは心によって生み出されたものだ。確かにDNAにはデジタル・コードが詰まっている。だからデザインがコードの説明になる――。マイヤーはこれに応じて、だったら、あなたは私が提出した説明、インテリジェント・デザインが現在のところ最上の説明だと認めるわけですね、と言った。話の要点は聴衆にも、おそらくマシソンにも取り違えようがなかった。次は、その驚くべきやり取りの記録である(強調筆者)――

マシソン――私にはこの議論は納得できない。ほんとうにそうだ。しかしその理由がわかってきたように思う。その理由とは、今晩わかったことだが、我々は今働いているとわかっていることから逆向きに推論して、インテリジェンスがコードを作り出すとあなたが言っていることだ。私はそれには同意するのだ。同意しない人たちの使う手の内が理解できるか? もちろん理解できない。よろしい、我々は逆向きに推論して、だからこれこそ我々に可能なことがわかっているただ一つの説明だと言う。その通 りだ、わかった、それは当然のことだ。ただ私はあなたと違ったふうに世界を見ている。だからこういうことだ。私はまだ…(沈黙)、あなたはインテリジェンスが情報を作り出すと言う。そして私の見方はちょっと違うのだ。どんなものを見ても、また見るたびに、もし十分長く待っていれば、物事には自然的な、唯物論的といってもよい説明が現れるということだ。そこで私には、自分はこのまま進んで、スティーヴの本と同じように、それを逆向きに取り込む(extrapolate)権利があるのではないかということだ。私がいやらしいカルヴィニストだからというのではなしに――まあそうかもしれないが――言ってみれば私がそう考えたいからだ。だからここで我々みんなが合意したいと思っていることは、「スティーヴ、馬鹿を言うな、デザインなどで何も説明はできないよ」などと言ってみても無益で無意味だということだ。もちろん説明できる。なぜできないと言うのだ? しかしこの部屋にいるキリスト教徒の中には、こう言えば納得できる人たちが…

マイヤー――あなたは安んじて、別の説明を待っていられるということですね?

マシソン――その通り。

マイヤー――ということは、厳密に言えば、私が提供する説明が現在のところベストだと認めるということでしょう――(聴衆からの大拍手、マイヤーとマシソンは理解できない模様)――そして私たちは違った科学哲学をもっていて、多分そこが私たちの不一致の在りかで、その点で対話を続けるべきだということでしょう。

マシソン――私はそれを承認する――(沈黙)デザインは将来もすぐれた反論できない説明だろう。どうしてそれが(沈黙)…どうしてそれがそうでないかがわからない。ただ私はそれが、私にはデザインされたと見えないと言っているだけだ。彼[ハント]は正しい。細胞の中で何かが起こっているが、そこにデザインを持ち込めるかどうかわからない。しかし、(ハントを指して)あなたのようにこう言うだけなら簡単だ…

マシソンがIDを正しいと明言できないのは、ハントと同じく彼も、生物学的情報の起源を説明する自然的・唯物論的な解答が現れるのを、待ち続ける側に与しているからである。私の予感では、彼は未来永劫待ち続けることになると思われる。

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