Evolution News & Views

真理には自明のものがある

Stephen C. Meyer
July 4, 2010

わが国の独立を祝うこの日7月4日は、多くのアメリカ人にとって、過去数年の同じ日よりも強力な響きをもつかもしれない。この国の政治的な雰囲気は、いわばますます独立的になりつつある。有権者は現職の政治家や政権与党に飽きあきしている。

このことは、どこからともなく湧き出してくるような予想しなかったベストセラー、政治の役割やわが国の行く先を根源的に問う、わが建国者たちのこれまで知られていなかった数々の伝記の出版を説明している。歓迎すべき進展というべきで、アメリカ人は自分たちの市民としての権利の源について、新たに学ぼうとしているのである。

しかし、これまで正当な注意を受けてこなかった、他にも増して基本的な一つの源がある。私の言うのは、理性によって自然から知ることのできる知的創造者(intelligent creator)が存在するという観念である。これは「独立宣言」の根底にあり、しかも奇妙なことに、今日の論争の的となっているインテリジェント・デザイン理論の根底にもある鍵思想である。

わが共和国の誕生は、この「宣言」において、トマス・ジェファーソンの筆によって成ったものだ。彼や他の建国者たちは、我々がデザインに従って、目的をもった創造者の似姿につくられたことから導かれる、持って生まれた人間の尊厳という信念に、彼らの遠大なヴィジョンを基礎付けた。

ジェファーソンが「宣言」に書いたように、「我々はこれらの真理が自明のものであり、すべての人間は平等に創られ、人間はある譲ることのできない権利をその創造者によって与えられたと信ずる。」もし我々が、我々の権利を政府によって与えられたとするならば、その政府はこれを取り上げてもよいことになる。

ジェファーソン自身、自然におけるデザインの科学的証拠があると考えた。1823年、彼はジョン・アダムズに宛てた手紙の中でこう言っている――

「私は、(啓示に訴えることなしに)我々が宇宙を、その部分において、また全体として眺めるときに、人間の心が、デザインとその完璧な技量 と無限の力を、その構成のあらゆる原子の中に認め、感じないことは不可能だと思っています。」

天体から動物や人間の被造物的身体にいたるすべてを眺め渡して、彼はこう主張した――

「繰り返しますが、人間の心が、こういったすべて、デザイン、原因・結果 から一つの究極の原因にいたるすべての中に、物質から運動のすべての作り手(fabricator)が存在することを信じないことは不可能です。」

このような考えが頭にあって彼は「宣言」を書いたのであり、「自然と自然の神の法則」から得られる人間の譲ることのできない権利を主張したのだった。

ジェファーソンの信念は、現在の科学に照らしても信じられるものであろうか? ダーウィンの『種の起源』出版に続く数十年は、生得の尊厳というジェファーソンの原理が覆されたかのような、「社会」ダーウィニズムや優生学の隆盛を見た。

核心から見れば、ダーウィンの人間観はアメリカ建国者たちのヴィジョンを覆すものである。進化生物学者ジョージ・ゲイロード・シンプソンが説明したように、ダーウィニズムはデザインの証拠を否定し、人間は「彼のことなど念頭になかった目的をもたない過程」の産物であることを示している。幸いなことに、現代生物学の諸発見はこの見方に異議を呈し、ジェファーソンの考えが正しかったことを証明している。

ワトソンとクリックがDNA分子の構造を明らかにした1953年以来、生物学者たちはますます生きた細胞にとっての情報の重要さを認めるようになった。DNAの構造は、コンピュータ・コードに似た4文字のデジタル・コードの形で、情報を蓄えることを可能にしている。ビル・ゲイツが言ったように、「DNAはコンピュータ・プログラムに似ているが、我々が作り出したいかなるソフトウェアよりも、ずっとはるかに進んでいる。」

導かれない化学進化のいかなる理論も、地球上の最初の生きた細胞を作るのに必要な、DNAのデジタル・コードの起源を説明していない。しかし我々は繰り返された実験(すべての科学的推論の基礎)から、情報というものは常に変わりなく心(精神)から生ずるものであって、物質的過程から生ずるものでないことを知っている。

ソフトウェア・プログラムはプログラマーから生ずる。情報は、それが神聖文字で書かれていようと、本に書かれていようと、電波信号にコードされていようと、常にデザインするインテリジェンスから生ずる。したがってDNAにおけるデジタル・コードの発見は間違いなく、生きた細胞のもつ情報の究極の源として、一つの知的原因の存在を指し示すことになる。

生命におけるデザインの増加する証拠は、アメリカ政治史についての我々の理解と、わが国の未来にとって、驚くべく大きな、かつ満足させる意味合いをもつものである。この独立宣言祝祭の日に、「自然の神」の証拠、したがって我々の権利が現実のものである証拠が、これまでにも増して強力な意味をもつようになったのである。

最新情報INDEX