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人間ゲノムはごみ溜めか?――ジョナサン・ウエルズの新著『ジャンクDNA神話』
Robert Crowther
April 19, 2011
40年ほど前に科学者たちは、我々のDNAの95%以上がタンパク質をコードしていないことを発見した。それ以来、タンパク質をコードしない部分は「ジャンク」(ごみ)と呼ばれ、それは進化の過程で蓄えられてきた分子的偶然によるものとされてきた。
このたび、生物学者Jonathan Wellsは、『ジャンクDNA神話』(The
Myth of Junk DNA, Discovery Institute Press, 2011)によってそれが作り話であることを暴き、人間のタンパク質をコードしない部分の多くは、進化上のゴミカスであるどころか、必要不可欠な生物学的機能を果
たすものであることを示した。『進化のイコン』の著者であるウエルズがこの本を書いたのは、「ジャンクDNA」が神話にすぎないことを示す、次第に豊富になっていく科学的文献からの証拠と、最近のゲノム・プロジェクトに光を当てるためである。
「ウエルズは彼の宿題をきちんとやってのけた」と、ウィスコンシン・スペリオル大学の微生物遺伝学および細胞生物学教授Ralph
Seelke博士は言う。「彼は何百という研究論文を引証しながら、コードしないDNA、つまり〈ジャンクDNA〉について拡大していく物語を説明している。これはこの問題について、現在利用できる最も徹底的な概観だといってよい。」
「ウエルズの本は、ごく最近の研究の諸成果
を読者に紹介するだけでなく、読者が、生物学における鍵となる発見について客観的に明瞭に考えるように、もっと創造性をもって生物学を研究するように奨励している」と、ジョージア大学の生化学および分子生物学教授Russell
W. Carlson博士は評する。
『進化のイコン』が、進化の教科書に載った証拠の問題を多くの人に初めてわからせ、科学的議論を一般
大衆にとって近づきやすいものにしたように、『ジャンクDNA神話』は、現行のダーウィン的物語に対する説得力ある反対の議論を、一般
読者にわかるように展開している。
残っている最後の「イコン」の一つが崩れ去るときがきた。
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