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雑誌社が論文検閲について謝罪し、1万ドル支払う

John G. West
June 7, 2011

ダーウィン主義のロビイスト達の常套文句のひとつはID論者は査読された研究を発表しないと主張することだ。しかしこれは明らかに事実に反する。しかしIDの研究者達が査読された論文を発表できるのはダーウィニスト達のお蔭ではない。彼らの多くはID研究者の論文が決して日の目を見ないように最大限の努力をしているのである。

『In the Beginning and Other Essays on Intelligent Design(物事の始まり、そしてインテリジェント・デザインに関する他のエッセイ)』の著者でエル・パソのテキサス大学の数学科教授であるGranville Sewellの論文に対して今年の初めに行われた恥知らずな検閲行為を見よ。ネオダーウィニズムを批判するスーウェルの論文(“熱力学第二法則の再確認”)は査読されており、なおかつ雑誌Applied Mathematics Lettersに掲載許可が下りていた。しかし「頑固なコンピュータ科学オタク」と自称するダーウィニストのブロガーが雑誌の編集者に論文を弾劾するように書くと、編集者は自らの雑誌の編集方針に反してスウェルの論文を取り下げることを決定した。

Applied Mathematics Lettersの出版社(Elsevier;国際的な科学書の出版社)は現在、代理人に対する費用1万ドルを支払うと共に公の場でスーウェル博士に対して謝罪することに同意した。

「言論の自由に対するこれ以上にあからさまな攻撃はない。」とスーウェルの代理人である、カリフォルニアのレピスコポ&モロー法律事務所のPete Lepiscopoは語った。

Applied Mathematics Lettersは「取るに足らないブロガーの、裏付けなく、権威もない意見によってスーウェルの論文を取り下げた。そのブロガーは、自らが『コンピュータ学科の卒業生』と名乗っている以外にその学問的背景はほとんど知られておらず、彼のブログには映画やコミック、ファンタジー系のコンピュータゲームについての投稿がなされているのみである。」とレピスコポは指摘する。この権威付けのないブロガーの意見が「多くの人々から尊敬されていて、パーデュー大学の数学の博士号を持ち、エル・パソのテキサス大学の終身在職権を持った数学教授であり、数学的分析に関する著書が3冊あり、権威ある雑誌に掲載された40の論文を持ち、国際的に数学と科学に関する講義で頻繁に活躍する著者の見解を打ち負かしたのだ。」

スーウェル博士の論文が取り下げられてから、ダーウィニズムの熱狂的支持者達は自分たちの業績を自慢し、この論文は実際は査読されていなかったか、または基準以下のものであったのだろうと意地悪く解釈した。雑誌は、ダーウィニスト達の中傷を支持するかのように、スーウェル博士をしばらくそのまま晒しものにしていた。編集者のRodin博士は、スーウェル論文を掲載することが不適切であると主張したダーウィニストのブロガーに媚びる手紙を書き、彼に同意することを伝えた。そして「この論文の掲載を考えたこと自体を間違った判断であった」と彼に向かって謝罪している。

ロディン博士と雑誌は現在、「スーウェル博士に対して真摯で心からの謝罪と…今後もスーウェル博士の投稿を歓迎する」旨の公式見解を発表しなければならなくなった。謝罪よりも重要なことは、雑誌が「スーウェル博士の論文が査読され、掲載を許諾されていた」と繰り返し、彼の論文が取り下げられたのは「レビュアーや編集者が間違いや技術的な問題を見いだしたためではない」と明らかにすることで、記録を修正したことである。

このような声明を発表することにより、Applied Mathematics Lettersは自らのプロフェッショナルな基準を捨て去ったことを本質的に認めている。雑誌の編集方針では著者が一旦論文の掲載の承諾を通 知された場合は撤回されることはなく、ねつ造や間違い、倫理的違反等のような「例外的な事態」においてのみ撤回されることになっている。

レピスコポ氏は「これらの例外的事態は、スーウェル博士の論文の取り下げについては全くあてはまらない。」と語っている。

更にいえば、苦情が著者に対して寄せられた場合の「一般 的規則」は、「雑誌編集者が著者に苦情の申し立てがあったことを伝え、著者はそれに対して反論/コメントする機会が与えられる」ことになっている。しかしスーウェルには、彼の論文が取り下げられる前に反論する機会は与えられなかった。

「この雑誌の対応は恥ずべきものだ。スーウェル博士のような学問的に信任された人物については、このような怪しげな苦情に対してもっと真剣な対応があってしかるべきだ。」とレピスコポ氏は言う。

不幸なことに、Applied Mathematics Lettersはスーウェルの論文を復帰させることを承諾しなかった。しかし雑誌が準備した印刷前のデジタル版を、オンラインで引き続き公表する権利をスーウェル博士に与えた。スーウェルの論文を復帰させない理由は信用しがたいものである。雑誌によれば、編集者は「内容が数学と言うより哲学に偏っており、技術的な数学の雑誌には相応しくないと結論付けた」とのことである。確かにその通 り、スーウェルの論文が査読されて数週間して、掲載の許可がなされ、オンライン版が出版された後に、雑誌の編集者は突然、この論文が雑誌の主題の領域外のものであると気づいたのである。

実際のところは、この洞察は、ダーウィニズムの熱狂的支持者達が彼の所にやってくることによって職業上の危機が生ずると考えたためであろう。

編集者の立場に同情もできる。彼はおそらく、スミソニアン博物館の進化生物学者Richard Sternbergの身の上に、インテリジェント・デザイン寄りの査読論文を彼が編集する生物学の雑誌に掲載を許可した後で起きたことについて、聞き知っていたのであろう。

もし今日、「静かな戦争」が行われているとすれば、それはダーウィニズムの批判者やインテリジェント・デザインの支持者によるものではない。それは科学者のコミュニティにおいて、自分たち以外のあらゆる主張が聞かれることを妨げようとするダーウィン原理主義者達によって起こされているものである。彼らは批判者を黙らせるために、事実上あらゆることを行っている――終身在職権を否定したり、雇用を妨げたり、サイバー攻撃を仕掛けたり、彼らが認めない学者による査読論文を検閲したり、等である。イタリアの遺伝学者Guiseppe Sermontiは「ダーウィニズムは…科学における政治的に正しい見解なのだ」と語っている。彼は何と正しく言い当てたことだろう。

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