Evolution News & Views

コンセンサスが実は「グループ思考」であるとしたら

David Klinghoffer
August 15, 2011

ニューヨーク・タイムズの短い記事が、微妙に強制された見解の一致という永遠の問題に対する、古代からの魅力ある警告について述べている――

最近数十年の行動科学における、最も影響力ある理論の1つは「グループ思考」である。1970年代初期に、心理学者Irving Janisの提起した「グループ思考」理論は、結束の固い、頭のよい、情報に通 じたグループが、いかに反対意見を抑圧し、合意の圧力のゆえに、ひどい災難をもたらす決定をすることがあるかを説明する理論だ。

なるほど、経験からもそのようだ。しかし、1つの専門家共同体のコンセンサス――例えば、ダーウィン進化論という科学の問題についてのコンセンサス―-は、全員一致した専門家が正しいことを保証すると考えられているのではなかろうか? 

Yeshiva 大学の心理学者Eliezer Schnallは、今月初め、アメリカ心理学会に論文を提出し、グループ思考の働いている歴史的な例としてジャニスが指摘したいくつかに注目している――例えば、日本のパール・ハーバー攻撃を、アメリカの政治指導者も諜報部も予見できなかったことなど。シュナルの見解では、古代の賢者たちは、コンセンサスが、知的意思決定が賛同の圧力で歪められてしまう心理的からくりを覆い隠してしまう可能性について、敏感であった。

シュナルが論じているように、ユダヤの高等裁判所――71名の裁判官からなるサンへドリン――では、この危険に対処する興味ある方法をもっていた。もし裁判所にかかる事件で、すべての裁判官が完全に一致して合意した場合には、この決定は自動的に棄却され無効とされた。その決定の有効性は、裁判にかかわるすべての専門家の一致という欠陥をもつものと考えられた。

この見方では、コンセンサスというものは、真理が発見されたという保証とはほど遠いもので、反対に、グループ思考が働いていることを示すものである。

最新情報INDEX