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Stampede(大敗走、総崩れ)!―「カリフォルニア科学センター」スキャンダルによって明らかになった我々の科学文化の本質

David Klinghoffer
August 31, 2011

ここ数日間、読者はこの欄で、「カリフォルニア科学センター」が11万ドル支払って、見解による差別 への訴訟をかわしたニュースを何度も目にしておられるだろう。これはCSC(カリフォルニア科学センター)が、法廷に出て公開でこの件を争うより得策と考えて、AFA(アメリカ自由連盟)に支払った金で、もし公開されれば、CSCのスタッフや科学者がロサンゼルス一円に送った一連の、犯罪を立証するEメールが暴露されることを恐れたものだ。

Casey Luskinを先頭とするENVのスタッフは、CSCの側で使われた二枚舌や非寛容の証拠――IDに好意的な観点の宣伝を禁圧しようとするパニックじみた試みと、それに続く隠蔽――をすでにはっきりと突き止めている。今、この広く報道された金銭による解決のあと少し落ち着いてきた機会に、なぜこれが非常に重要な問題であるのかを説明したい。

私は次のように言う人があるだろうと想像できる――「まあ、AFAには気の毒だったと思うよ。彼らはID支持の映画をCSCの施設で上映しようとしたところ、CSCがこの契約をキャンセルして取りやめさせたのだからな。これは弁護士の解決する問題だ。ひょっとしたら憲法問題にさえなるかもしれない。しかし何だかんだと言っても、CSCのスタッフがIDのようなエセ科学に非寛容だったとしても、仕方がないのではないのか? AFAの訴訟の法的正義はどうであれ、正当な科学と邪道科学を区別 するのは、当然、科学者のやるべきことだよ。」

もし過去数年にわたってIDの直面したのが、健全な科学的懐疑でなく、科学的唯物論者の自己保全意識だったという事実がなければ、このような反応にも十分に意味があるだろう。これまでに起こったどの差別 事件を見ても、IDを敵視する人々は常に、自分たちと競合する観点の主張と証拠に対して、完全に聞く耳を持たぬ という態度を取ってきた。声の大きな、教条主義的ダーウィン執行部というべきわずかの人々に脅されて、彼らは異端になること、異端と疑われることを怖れている。

ところで、ダーウィン科学者が「脅されている」(buffaloed)というのは正確な比喩である。数日前のニューヨーク・タイムズの記事で、コラムニストPaul Krugmanは、テキサス州知事のRick Perryが進化や気象変化を疑っていると揶揄していた。クルークマンの考えでは、ペリーは何か「陰謀」があると考えているに違いないようだ――「ペリー氏は、世界中の何千という科学者が加担していて、誰ひとり沈黙の掟を破ろうとする者がいないとする、実に馬鹿げた陰謀説を本当だと信じているのだ。」

それは違う。進化についても気象についても、正統派の考えを疑うのに陰謀説など信ずる必要がない。19世紀、アメリカのバッファローは狩猟の対象となり絶滅に瀕した。ほんのわずかの男たちが、これらの馬鹿でかい動物の大群をパニック状態に追い込み、文字通 り大敗走させ、崖から追い落として殺した。ひとたびパニック、つまり集団恐怖が起こると、ハンターたちが大きなバッファローの巨大な群れを操るのは簡単なことだった。

科学の世界でも、ダーウィンを疑う声がほんのわずかでも起こったとき、この同じパニック心理状態がただちに全体に起こる実例を、我々は次々に見てきた。CSCのスタッフや近隣の研究所の学者でさえ、集団的不安神経症に導かれた。彼らは自分の評判と生計が心配だったのも事実だが、いつもは冷静で思慮深い人々を襲ったこの狂乱状態は、ほとんど現実のものだった。

恐怖の中で、これら科学者バッファローは、学問的、文化的、哲学的に深い意味をもつ、この科学の問題について議論を要求する個人やグループをさえ踏みにじった。ここ一年間に変わったことは、有難いことに、踏みつけられた人たちが反撃に出て、訴訟を通 じて自分たちの正しさを認めさせたことである。AFA対CSC訴訟で起こったのは、まさにそれだ。

なるほど金は物を言う。スミソニアン研究所・米自然史博物館のリチャード・スターンバーグは、ほかならぬ 米政府の特別調査委員会に自分への迫害の事実を認めさせたけれども、彼に金銭的補償はなかった。これに対して、CSCがアメリカ自由連盟に対し不承不承11万ドルの金を払って和解したとき、これはCSCが自らの不正を認めたことを意味した。何と言ってもCSCは米政府の施設である。政府が見解による差別 をすることはできない。実のところ、これまでいかに多くの記録された反ID差別 事件が、国家経営の教育・科学施設で起こったかは驚くほどである。

これが重要な意味をもつのは、IDが自らを主張するときに直面 する障害の大きさが、ここから実に明瞭に見えてくるからである。ID批判者たちはこう言ってID唱道者を非難する――「もし君たちの科学が君たちの主張するように堅固なものなら、科学体制派はそれを認めているはずだ。」しかし、いくつかの学問分野でのIDに対するパニック的抵抗を説明するのは、反ダーウィン異端者と見られまいと常に戦々恐々としている、まさにこの体制派のバッファロー的恐怖なのである。(一般 大衆の中では、もちろんID支持は広がっている。)

不安神経症にかかっている人に道理を尽くして話しても効果 は期待できない。そういう方法は効き目がない。しかしいくつかの研究施設が、自分の内部でいつまでもガキ大将を放任しておくわけにいかず、いじめの犠牲者が反撃してくるたびに10万ドル以上の出費がかかるとあっては、こんなヒステリーを起こし続けるわけにもいかないと悟るようになれば、科学的精神が解放され、前進が可能になるだろうと私は期待している。

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