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DVD “Metamorphosis” (オオカバマダラの変態)の制作者・監督Lad Allenに聞く

ENV
September 28, 2011

[注:これはDVD “Metamorphosis”(2011/5/18「新DVD Metamorphosis(生物の変態)プレビュー所感」参照)を解説するコンパニオン・ブックMetamorphosis: The Case for Intelligent Design in a Nutshell Chrysalis (無料でダウンロード可能)のインタビュー記事の一部である。なお、このDVDはアマゾンcom (アメリカ) を通じて入手できる。]

質問者――「蝶はしばしば子供にも大人にも等しく驚異の感情を起こさせます。あなたがこの映画を制作中にもそういう経験をされましたか?」

ラッド・アレン――「このプロジェクト全体が驚異の感情に包まれたものでした。蝶のライフ・サイクルはいまだに自然界の最も大きな神秘の一つです。大地に縛られた毛虫が「さなぎ」と呼ばれるカプセルの中に自分自身を閉じ込めます。そこでは毛虫の器官はすべて溶けて化学物質のスープのようになります。それからそれが再び組み合わさって、羽や複眼や生殖器官や、その他多くの、毛虫には存在しなかった器官に組み立てられます。それは目的、予見、工学技術、デザインといったものなしには考えられない、信じられない工程です。我々がインタビューしたあらゆる科学者や学者が、この過程には畏怖の念をもつと言っています。

「このオオカバマダラ(Monarch butterfly)という蝶の移動(渡り)についても、それは同じです。春あるいは初夏に生まれるオオカバマダラは、2週間から4週間くらいしか生きていません。しかし8月下旬ころに生まれる世代は、9か月も生きられるように遺伝的に仕組まれています。だからそれは「メトセラ世代」と呼ばれています。[注:メトセラは旧約聖書に現れる969歳まで生きたと言われる長命者]

「そのおかげで、これら熱帯の蝶たち(もし彼らが、アメリカ中西部やカナダの凍るような冬の気候にさらされたら死ぬ )は、3000マイルも旅をして、メキシコ中部の火山地帯にある山脈の中の森の、ある狭い場所にたどり着くことができるのです。そこは、オオカバマダラが春まで生き延びるのに、条件がちょうど適しているのです。3月になるとオオカバマダラは、初めて生殖活動を始めます。彼らは(オス・メスが)つがい、そのあと北へ向かって再び旅をします。彼らがテキサス州南部まで来ると、メスは卵を生みますが、それはトウワタ(milkweed)と呼ばれる植物の上でなければなりません。それが幼虫の毛虫が食べる唯一の食べ物だからです。それから間もなくメスは死にます。夏の何カ月かの間に、オオカバマダラの新しい世代が生まれ、北へと移動しますが、彼らはやはり2週間から4週間しか生きていません。

「それから9月の上旬に、新しく生まれた「メトセラ世代」――前の年に移動したオオカバマダラから3あるいは4世代離れた世代――が、はるかカナダ北部から、前年、彼らの祖父母と曾祖父母たちに聖域を提供した、その同じ木へと旅をするのです。これらの昆虫(体重は4分の1オンス=7g以下)を、これほど正確に、彼らが見たこともないメキシコのある一定の森へと導くナビゲーション(道案内)システムは、驚異というほかはありません。」

質問者――「インテリジェント・デザイン(ID)を主張するのに、蝶はどのように役立ちますか?」
アレン――「私は蝶に明らかな美しさそのものがデザインだと思います。模様、色合い、羽の形といったものは、カムフラージュとか交尾相手を惹きつけるための必要性をはるかに超えたものです。私はしばしば、これは人間が楽しむために存在すると考えてよい、無償の途方もない美しさだと感じます。自然選択はその定義上、生き残り以外の目的のためにある身体的特徴を生み出すことはありません。それは「ただ美しくある」という目的のために物を作り出すことはない。しかしインテリジェンス(心の働き=知情意)にはそれが可能です。

「またデザインの強力な証拠は、変態の過程そのものに現れています。芋虫(毛虫)がさなぎの段階に入るときには、その内部の器官が溶けてしまうので、それは自殺するわけです。蝶は自分のライフ・サイクルのその段階に入る前に、完全に機能する成虫としてその向こう側へ出ていくための、プラン(設計図)をもっていなければなりません。もしその変身が不完全であれば、その芋虫は死んでしまいます。

「この事実は、変態についてのダーウィン的説明を極端に難しいものにします。蝶が(地上に)存在する前に、どうして最初の芋虫が自分の体を再構成して、それ以前には存在していない羽のある昆虫になることができるでしょうか――それもダーウィンによれば、一連の小さな徐々に進む進化の段階を経て――しかもそこには細胞の死と自殺が含まれるのですから。これが可能になる唯一のシナリオは、変態が、先見の能力と目的をもつことができる作用者(agent、人か神)によるオーケストラの指揮のようなものがある場合だけです。未来を覗きこみ、それが何になるかを視覚化することのできる作用者です。導かれない自然のプロセスにそういうことはできません。しかしインテリジェント・デザイナーにはそれが可能です。」

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