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エッフェル塔と樹木の教訓
David Klinghoffer
January 3, 2012
トマス・エディソンが、1889年に初公開して間もない頃の、パリのエッフェル塔を訪れたとき、訪問者記帳簿に記念すべきことを書きこんでいる。エディソンはこの塔の設計者ギュスターヴ・エッフェルに賛辞を捧げ、「『偉大なるエンジニア』である善き神(Bon
Dieu)を含め、すべてのエンジニアが最大の尊敬と称賛を捧げる人によって、現代工学技術のこれほど巨大で独創的な見本」が考案されたことを称えている。
エッフェル塔は先週、NPRがそのデザインの背後にあるインスピレーションの不思議な事実を報道したとき、小さいながらもニュースになった。エッフェル自身は、レオナルド・ダ・ヴィンチへ500年も遡る生物模倣理論に依拠していた。「生物模倣」とは、この欄でもよく話題になるように、自然の素晴らしさはインテリジェント・デザインによるものでなく、常に、計画も設計もない原因、つまり進化によるものだとする頑なな、直観に反する考えを取らず、よりすぐれた構造を自然に求める人間技術・工学の方法のことである。
用心深い者は誰も、この方法の驚くべき有効性はIDを「証明している」とは言いたがらない。しかし現にそれは驚くべきものなのだ。なぜそうでないと言いたがるのか?
エッフェルは、このフランス革命100年を記念する1063フィートの塔が、確実に強風に耐えるようにしたいと思った。風に対する抵抗の最上のデザインは樹木、特に、親枝と子枝の表面
積の数学的関係にあった。そしてこれはダ・ヴィンチが初めて割り出した特別
の関係であった。これはサンディエゴ大学の物理学者Christophe
Eloyによる結論で、Physical Review Lettersに載った彼の最近の論文が、NPRの報道の契機となった。
「レオナルドの規則、自己相似、及び樹木の風によるストレス」という論文で、エロイはレオナルドの規則をこのように簡潔に述べている――「親枝が2本の小枝に分かれるとき、それらの直径は、2本の小枝の表面
積が、合計して、親枝の面積と同じになるようになっている。」
この驚くべき皮肉を見逃してはならない――自然の背後に「デザイン」を考えることを排斥しようとする革命を祝賀するために建てられた、今はイコンとなったこの記念碑を設計するのに、エッフェルは、樹木を手本としたレオナルドを手本としたのだった。このインスピレーションの元となった驚くべきものについて、NPRのリポーターJoe
Palcaは、よくある陳腐で説得力のない、心を持たない進化のせいにすることを選ばなかった。
その代わりに彼は、樹木が自分で自分をデザインしたというような、ジョークめいた言い方を選んだ――
工学技術の観点からすると、もし人が強風に最もよく耐えられる木をデザインしようとすると、それはレオナルドの規則に従って枝分かれするでしょう。明らかに樹木は、すべて自分の才覚でこの高度な工学原理を編み出したのです。
まあ、言い方もあるものだ。でも理解はできる。別
の言い方をすれば、どう言えばよかったのか? 木はエッフェル塔のように工学技術の産物です、とでも?
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