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ダーウィン・ロビーのレトリックに騙されているテネシー州知事――言論の自由法案は通ったが

Casey Luskin
April 11, 2012

テネシー州の教師と学生は、先週、学問の自由法案が可決されたことによって非常に大きな勝利を勝ち取った。これは「教えられるコースで取り上げられる、存在する科学理論の科学的強みや弱みを、学生が客観的に理解し、分析し、批判し、論ずることができる」ように保証する法案である。テネシー州知事Bill Haslamはこの法案を却下はしなかったものの、その通過を積極的に支持はしなかった。実際彼は、法案に反対するダーウィン・ロビーの間違ったレトリックを、ある程度認めていると取れる声明を発表している――

私はHB 364/SB 893法案の最終的な文言を吟味して、その法制化の影響を評価した。私はまた、この法案によって持ちあがってきたさまざまな懸念をも考えてみた。私はこの法制化が、我々の学校や教師たちの用いるカリキュラムで教えられている科学基準に、特に変更をもたらすとも思わない。いずれにせよ、それは我々の学校ですでに許容されていないような、何ものをも達成するものではないと思う。


この法案は、上下両院を3対1の差によって通過し、強力な二党連立の支持を得た。しかし良い法制化は、明瞭さをもたらすべきであって、混乱をもたらすべきではない。私の懸念は、この法案がこの目標に沿わないことである。そうした理由で私はこれに署名はせず、私の署名なしで法制化することにする。

この声明には2つの主要な問題がある――

第一に、彼はこの法案が「我々の学校ですでに許容されていないような、何ものをも達成するものではない」と言っている。これは正確でない。全国的な教師たちとの話し合いのなかで、論点となっている科学的問題に触れるときには、通常、教師たちは何も言ってはいけないような圧力を感じるというパターンがあることを、私たちはずっと観察してきた。実際、2008年の、学問の自由法を通す前のルイジアナ州の調査結果では――

*教師の48%が、「論争の問題点を教えることによって、[彼らの]…終身在職権や給料や昇進、職務安全保証に差し障りが生ずる」ことを怖れている。
*50%が、進化論を批判する自由はないと感じている。
*55%が、「起源問題をめぐる論争を教える勇気はない」と言っている。

だから、州の科学教育基準が公的には批判的思考を奨励しているからといって、それは、進化論のような問題についての異なった科学的見解を教える自由があると教師が感じるような、学問の自由の雰囲気が存在することを意味しない。テネシーの学問の自由法案は、教師たちに、進化論のような問題を、職を失う心配をすることなしに、客観的に教えることができるという自信を与えることになる。

第二にハスラム知事は、この法案は「明瞭さをもたらず、混乱をもたらすものだ」と言っている。しかしこの法案自体は、それが何を保護し何を保護しないかについて、この上なく明瞭である――

この部分は、科学的情報を教えることを保護するだけであって、どんな宗教的・非宗教的教義を教えたり、特定の宗教的・非宗教的信念を擁護または差別したり、宗教や非宗教への擁護または差別を促進したりするものでもない、と解釈されなければならない。

もしここに混乱があるとしたら、それはこの法案の文言からくるのでなく、この法案についてさんざん誤情報を吹きこんだ反対者から来ている。多くの例(リンク)の中の一つとして、きょう私はNPRの“To the Point”というパネル・ディスカッション(リンク)に出席したが、そこではNCSEのJosh Rosenauが、この法案は「クリエイショニズム」や「疑似科学」や「非科学」にクラスを開放するものだと言っていた。しかし法案の文言を読めば、そういったものはこの法では全く保護されていないことがわかる。

だからハスラム知事が、この法案に関して多くの「混乱」があると言ったのは正しいのだが、それは法案の欠陥ではない。反対者達がたえず世間に向かって、この法律は「クリエイショニズム」を教えることを許すものだと言い続けていれば、この法の実効性について混乱する人があるとしても無理はない。NCSEを代弁する人たちは、もし彼らが、テネシーのような学問の自由法案はクリエイショニズムを教えることを許容するというような虚偽を宣伝することをやめたなら、学校授業からクリエイショニズムを追い出す彼らの使命を、もっと有効に全うすることができるだろう。

皮肉なことに、反対者達の論点そのものが、なぜこの法が必要なのかを示している。たえず一般大衆に向かって、主流の進化論的主張の是非を示す科学的証拠を教えるのは、クリエイショニズムを教えるに等しいことだと言い続けることによって、教師たちは沈黙するように圧力をかけられているのだ。テネシーで制定されたような学問の自由法は、教師たちが安心して、クリエイショニズムを教えることなしに、また職を失う心配をすることなしに、進化論の合法的な科学的批判を教えることができるように保証するのである。

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